KPIは3つで十分:中小企業が追いかける数字の決め方

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「KPIを設定したけれど、いつの間にか誰も見なくなった」。こうした声をよく耳にします。原因の多くは、KPIの数が多すぎることと、日々の行動とのつながりが見えないことにあります。

KPI(重要業績評価指標)は、目標を達成するために「日々何を追いかければよいか」を示す数字です。この記事では、中小企業がKPIを3つに絞って決める方法と、続けるための運用のコツを解説します。

この記事でわかること

  • KGIとKPIの違い
  • 売上を分解して、KPIの候補を見つける方法
  • KPIを3つに絞るための基準と、運用のコツ
目次

KGIとKPIの違い

KGI(重要目標達成指標)は、最終的に達成したい目標です。たとえば「今期の営業利益を20百万円にする」といった数字です。KPIは、そのKGIを達成するために、途中で追いかける数字です。

山頂のゴールに向かう道に途中の目印の旗が立っているイラスト
指標意味例
KGI最終的なゴール今期の営業利益20百万円
KPIゴールに向かう途中の目印月の新規商談件数、成約率、客単価

KGIは結果の数字なので、分かったときにはもう手遅れということもあります。KPIは、結果が出る前に行動を修正するための数字です。

売上を分解してKPIの候補を見つける

KPIを見つけるには、売上や利益を「掛け算」に分解するのが近道です。たとえば、売上は次のように分解できます。

売上の分解の例

売上 = 商談件数 × 成約率 × 客単価

売上 = 顧客数 × 購入頻度 × 客単価

このように分解すると、売上を伸ばすために動かせる数字が見えてきます。商談件数を増やすのか、成約率を上げるのか、客単価を上げるのか。どの数字を動かすかによって、取るべき行動が変わります。

人・コイン・買い物袋のアイコンが付いた3つのメーターのイラスト

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KPIを3つに絞る3つの基準

分解した数字の中から、次の3つの基準でKPIを選びます。

基準確認すること
影響が大きいその数字が動くと、利益が大きく変わるか
社員が動かせる社員の日々の行動で変えられる数字か
毎週・毎月測れる手間をかけずに、定期的に数字を集められるか

たとえば「市場全体の景気」は利益への影響は大きいものの、社員が動かせる数字ではありません。反対に「ホームページの閲覧数」は測りやすいものの、利益への影響が小さい会社もあります。3つの基準をすべて満たす数字を選ぶことが大切です。

業種別のKPIの例

業種KPIの例
BtoBの営業会社新規商談件数、成約率、平均受注単価
小売・飲食来店客数、客単価、リピート率
製造業受注件数、不良率、1時間あたりの生産量
サービス業稼働率、解約率、1人あたり売上

同じ業種でも、会社の課題によって選ぶべきKPIは変わります。「今、自社の利益を一番押し下げているのはどこか」を考えて選びましょう。

KPIを続けるための運用のコツ

目標値は「少し頑張れば届く」水準に

高すぎる目標は、最初から諦めを生みます。過去の実績をもとに、少し努力すれば届く水準に設定し、達成したら段階的に引き上げます。

ホワイトボードのグラフを見ながらチームで数字を振り返るイラスト

毎週または毎月、同じ場で振り返る

KPIは、見る場を決めないと続きません。週1回の朝礼や月次ミーティングなど、決まった場で数字を共有し、「目標との差」と「来週やること」を確認します。

KPIは定期的に見直す

一つの課題が解決すれば、次に追いかけるべき数字は変わります。半年から1年に一度は、KPIが今の課題に合っているかを見直しましょう。

よくある失敗

  • KPIを10個以上設定し、どれも中途半端になる
  • 結果の数字(売上・利益)だけをKPIにして、行動につながらない
  • 数字を集めるだけで、振り返りの場がない

よくある質問

KPIは、社長が一人で決めてもよいですか?

方向性は経営者が示してよいのですが、具体的な数字や目標値は、現場の担当者と一緒に決めることをおすすめします。自分たちで決めた数字のほうが、日々の行動に結びつきやすく、達成への意識も高まります。

KPIは、部署ごとに分けたほうがよいですか?

会社全体のKPIを3つ決めたうえで、それぞれを部署の行動に分解するとつながりが見えやすくなります。たとえば「成約率」を会社のKPIにした場合、営業部は提案件数、マーケティング部は問い合わせの質など、部署ごとの目印に落とし込みます。

数字を集めるのに手間がかかりすぎます。

最初は、すでに会計ソフトや販売管理システムにある数字から選ぶのがおすすめです。新たに集計が必要な数字は、集め方を簡単にする工夫をしてから加えます。数字を集める手間が大きいKPIほど、続かなくなる傾向があります。

KPIを達成しているのに、利益が増えません。

KPIとKGIのつながりが弱くなっている可能性があります。たとえば、商談件数は増えたものの、値引きが増えて客単価が下がっている、といったケースです。売上の分解式に立ち返り、他の数字が悪化していないかを確認しましょう。

KPIの結果を、評価や給与に反映させるべきですか?

KPIを評価に結びつけると意識は高まりますが、数字だけを追って品質や顧客満足が下がるおそれもあります。導入の初期は評価と切り離し、まずは数字を見て行動を変える習慣をつくることを優先するのがおすすめです。

KPIの数字は、どこに表示すればよいですか?

社員がいつでも見られる場所に表示するのが効果的です。事務所の壁に貼る、社内チャットで毎週共有する、共有のスプレッドシートにグラフで表示するなど、会社に合った方法を選びましょう。目に触れる回数が多いほど、数字への意識は高まります。

まとめ

  • KPIは、KGIを達成するために途中で追いかける数字
  • 売上を掛け算に分解し、影響が大きく・動かせて・測れる数字を3つ選ぶ
  • 決まった場で振り返り、半年から1年ごとに見直す

「自社にとって大切な数字が分からない」「KPIを決めたが定着しない」という方は、お気軽にご相談ください。管理会計の視点から、会社に合ったKPIの設計と運用をお手伝いします。

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